講師メッセージ

僕が初めてヨガと出会ったのは今から10年以上前の20代半ば、インドのバラナシという街でインド伝統楽器シタールの勉強をしていた時でした。当時シタールを習っていた先生の弟に勧められるがまま、彼とその仲間がガンジス川のほとりで毎朝行なっていたヨガサークルに参加したのが始まりです。

早朝5時、真っ暗な廃墟のような建物の一角で行われたそのクラスは、お世辞にも心地よいものとは言えませんでした(笑)。薄暗くて怖い、周囲が汚い、さらにあまり言葉が通じないのでそんなに丁寧には教えてもらえない、とあってあまり良い体験をしたとは言えず、その時は結局ヨガに夢中になるということはありませんでした。

帰国後は電機メーカーの営業として車に乗って得意先を回ることが多かったためか、腰椎椎間板ヘルニアを患いました。その改善のために独学で腰痛改善ヨガなどをしていましたが、もっと練習に励むようになるのは少し先の話です。

転機が訪れたのは30代を迎えてから、上述した会社を退職しアジア各国やオセアニアを訪れた長期海外旅行中に、やはりインドへ行った時でした。この時に訪れたのはリシケシというヨガの聖地。ここには様々な流派のヨガが集まっているため、色々な経験を積むことができました。初めてアシュタンガヨガのクラスに参加したのもリシケシです。

当初は趣味のボルダリングのため、柔軟性獲得を目的として妻に同伴して通い始めたクラスでしたが、気づけばその奥深さに魅了されていました。


それからは渡印を重ねつつ、インドで500時間超のヴィンヤサヨガのティーチャートレーニングコースを終了。その後、アシュタンガヨガの師と仰ぐTarik Thami氏と津川晃子両氏の下、世界有数の規模を誇るアシュタンガヨガスタジオであるマイソール東京で日々の練習を重ねながら、アシスタントとして勉強をさせていただきました。2019年よりKPJAYIディレクターのSharath Jois氏の下でも練習を始め、日々ヨガの学びを深めるよう努めています。

できるだけ多くの人にアシュタンガヨガの素晴らしさを伝えたいと思い活動をしていますが、奥深いアシュタンガヨガの魅力を言葉で伝えることは容易ではありません。ですが、あえて他のヨガの流派と一線を画するアシュタンガヨガの特徴をあげるとすると、それは「強くなること」だと感じています。

柔軟性や筋力の増加、心の落ち着きやリラックスといった一般的にヨガから得られる効能にとどまらず、アシュタガヨガが与えてくれる日々の練習に裏付けされた真の強さは現実と対峙する勇気を与えてくれます。そして、それは自分で自分の人生を果敢に切り開いていくための大きな力となり得ます。

周囲との調和を実現しつつも、日々の練習を続けるうち時にダイナミックに、時に緩やかに変化していく自分の人生をじっくりと味わうように歩んでいくこと、それこそがアシュタンガヨガが与えてくれる恩恵なのではないかと思います。


単なるエクササイズではなく、もちろん宗教でもない。人生を豊かにするスピリチュアル・プラクティスであるこのアシュタンガヨガの伝統を、一人でも多くの方にお伝えすることができればこんなに嬉しいことはありません。